岡山 能「吉備津宮」復活は岡山の財産

郷土ゆかりの識者による連続講座「おかやま楽習塾」の第8期第2回講演会が26日、岡山市北区柳町の山陽新聞社さん太ホールで開かれた。岡山市出身の能楽研究者で、東京大大学院教授の松岡心平さん(61)=横浜市=が、岡山ゆかりの能「吉備津宮(きびつのみや)」の復活への思いなどを語った。
 松岡さんは、「14世紀ごろに起源を持つ能は、それ以前の日本の文化すべてを『ダムのように』引き受けている」と能楽研究の奥深さを紹介した。
 大学時代に、能楽師の故観世寿夫氏が舞う、郷土が舞台の「藤戸」に感動して進路を決めたエピソードを披露。「藤戸」は武将に口封じで殺された漁師を描いた曲で、「歴史の裏側、庶民や敗者を舞台に上げたのが能の一つの特徴」と説明した。
 復活させる「吉備津宮」は、吉備津彦命(きびつひこのみこと)が鬼と恐れられた温羅(うら)を退治した吉備津神社(岡山市北区吉備津)の縁起が主題。松岡さんは、観世流能楽師・林宗一郎さんの依頼で台本作りのアドバイザーを務めている。
 「鬼退治伝説は朝廷に討たれた、“負けた”側にしか残っていない伝承で、『藤戸』同様、能として受け入れやすい」とした上で、「岡山県人のアイデンティティーの中核にある説話の復曲は重要で、岡山の財産になる。岡山県人として微力ながら力を尽くしたい」と述べた。